シニアのための住宅設計

加齢に伴う身体の変化

年齢と共に身体の状態は変わります。主な傾向としては

足腰が弱っている
歩幅が狭くなる
筋力が低下する
腕・握力が弱くなる
関節の曲げ伸ばしが難しくなる
敏捷性が乏しくなる
転倒しやすくなる

といった特徴が見られます。
住居内での行動を快適にし、事故を未然に防ぐためには以下対応が考えられます。

廊下や出入り口は広く

通常、木造の柱間隔は91cm幅を基本としているので、12cm角の柱を立て、両側に壁を作ると75cmに近くなります。標準的な車イスの幅が60cmであることから車いすの生活になったことを想定した場合、必要な廊下の幅は85cm以上となります。車イスになる前の段階において手すりを必要とする状態があることを考えるとさらに手すりを付ける幅の余裕を考えておくとよいでしょう。
また、各部屋との出入り口の幅も重要です。

段差解消&スロープ

日本の住宅は床下の防湿のため構造上どうしても段差が生じます。
敷地に余裕がある場合はスロープの設置ができるようにしておきます。
室内においては、将来車いす生活になっても使いやすい引き戸にするとよいでしょう。
その際は敷居が床から上に飛び出さないタイプのもの、敷居が不要の吊り下げタイプもあります。
浴室の場合は排水溝設ける等、水が浴室から出ることのない配慮が必要です。

手すりや昇降機・ホームエレベーター等の設置

階段への手すりの設置は建築基準法(※1)により決められていますが、立ったり座ったりする場所(玄関、トイレ、浴室)にもあった方が良いでしょう。
手すりの太さは3〜4cmが推奨されます。設置する高さは利用者の身長に合わせます。
階段の昇り降りが難しい場合はレールを設置する昇降機やホームエレベーターも検討すると良いでしょう。

バリアフリーリフォームの費用

階段やトイレに手すりを設置する場合 機器代金+工事費 4万円/1箇所
トイレなど開き戸を引き戸に変更する場合 機器代金+工事費 15万円/1箇所
ホームエレベーターの設置 機器代金+工事費 250万円 (※2)
(費用は目安です)

なお、要介護・要支援の方の住居改築の場合「高齢者住宅改修費助成制度」「高齢者住宅改造費用助成事業」など、自治体から費用補助をしてもらえる場合があります。

※1 第二十五条

  1. 階段には、手すりを設けなければならない。
  2. 階段及びその踊場の両側(手すりが設けられた側を除く。)には、側壁又はこれに代わるものを設けなければならない。
  3. 階段の幅が三メートルをこえる場合においては、中間に手すりを設けなければならない。ただし、けあげが十五センチメートル以下で、かつ、踏面が三十センチメートル以上のものにあつては、この限りでない。
  4. 前三項の規定は、高さ一メートル以下の階段の部分には、適用しない。

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※2 エレベーターは毎年定期的なメンテナンスが必要です。